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偲・しのぶとは
「亡くなったことがいまだに信じられません。受け入れることができません」
涙をぬぐいながら、そうおっしゃったのは、ご主人を亡くされた檀家の奥さんでした。七十代のご主人は、ある日、突然の脳梗塞に倒れられ、最後の会話や看取ることもかなわないままに、息を引き取っていかれました。
あまりにも突然の別れに、心の整理もつかず、現実を受け入れることのできない日々。ご葬儀から少し時間の経った49日忌法要後、胸の内に抱えておられたものを、少しずつ、少しずつ話しをしておりました。
しばらくお話しされて落ち着かれたのでしょう。最後に、「人と人には別れがありますが、仏さまと私に別れはないんですね。先に浄土へ往った主人は、私にとって仏さまです。悲しみはつきませんが、仏さまと成った亡き主人との縁を大切に、これからの人生を生きていきたいと思います」と話しをしておりました。
出あいなき人生、別れなき人生がないように、私たちの人生は思いがけない出あいと別れを繰り返しながら、ここまで歩んできました。そして出あった者とは必ず別れていかねばならないように、「出あい」と「別れ」は決して切り離すことのできないものなのです。
もしかすると世間では、「出あい」にこそ意味があって大切な縁とされ、「別れ」は悲しみだけの縁であると受け止められ、敬遠されるものかもしれません。もしその方との「出あい」が大切なものであれば、「別れ」もまた、決して悲しみだけで終わらせてはいけないのです。
あとに残された私たちは、忘れがたい方との別れを通して、さまざまな仏事や法事のご縁をいただきます。このご縁は、亡き方を偲んでいくとても大切な時間となるのです。
「偲・しのぶ」という漢字は、「人を思う」と書いて「偲」となっています。「偲ぶ」という言葉は先立って往かれた方々に思いをいたしながら、亡くなりになられた方から、いただいたご恩に心を向けていく、そんな在り方を教えてくれている言葉なのです。